2023.11.30 11:05五感が磨かれる「子どもは地獄耳」(『土の匂いの子抜粋』)「えっ? 聞いてたの?」 子どもたちが遊ぶかたわらでおしゃべりに花を咲かせる母たちは、子どもの地獄耳にいつも驚く。だが、考えてみれば、生後たった1年で複雑な言語の大半を理解してしまう超能力者の彼らが、おとなよりはるかに敏感な聴力をもっているのは当たり前のこと。 全身耳であるような子どもが谷戸に行けば、虫の鳴き声、飛ぶ虫の羽音、梢のきしめく音、風が通り抜ける葉ずれの音などを、いちいち言葉に表さなくても感じ取っている。ウグイスの鳴き声を何回も聞けば、姿はわからなくても、谷戸の春と結びついて体にしみ込む。 カエルを捕まえて見せてから、「田んぼでカエルが鳴いているね」と語りかけることもある。「誰の声?」「何の音?」。その正体の固有名詞はわからなくても識別し、自...
2023.11.30 10:43日誌抜粋~子どもたちから教わること今日は晴天。20℃を超える程の少し暑いくらいの良い天気。野村の集合場所から山道に入る。ヒマリが分かれ道もどんどん進み、カナさんが探しに行くことに。1歳組のヒマリだけど、足が速くてすばしっこくて驚いた。皆んながそろったところで、山道の斜面をどんどん下っていく。笹や色々な葉っぱで視界が見にくいけれど、カイとフウト、リツがどんどん先頭を行く。エマは葉っぱが顔に当たるのが嫌なのか、「ママ、ママ」と泣きながらがんばって歩いていた。途中、カイがエマを葉っぱでつついてさらに泣いてしまった。フウトが「エマは葉っぱ嫌だからやめなよ」と止めていた。 リツは相川さんや他の子を探しに戻ったり、また進んだりを繰り返していて、たくましくて体力があるなぁと思った。アンナにとっては上...
2023.11.10 12:43五感が磨かれる「天然の味がわかる」(『土の匂いの子』抜粋 )味覚もまた発達途上で、微妙な味の差は感じ取れないらしい。甘いと塩辛いは識別できる。一方、酸っぱい、苦い、辛いは、なんとなく不愉快な味として敬遠する部類に入るが、実はあまり感じていないようでもある。山の味覚として、桑の実、サクランボ、キイチゴなどは好んで食べる。赤い実がおいしいと知ると、味のないヘビイチゴも「おいしい」と口にする子も多い。 思い込みは大きい。おとなや年長児が「おいしい」とうれしそうに食べるのを見ると、食べなきゃ損とばかりに食らいつく。ムカゴをかみしめて「元気になった」と言えば、空腹を満たすのに役立つと真似をする。漂流してきた海草の実もつまんで食べる。海水を指につけてなめ、「あまい」「すっぱい(しょっぱいのこと)」。スイバ(土手のスカンポと...