五感が磨かれる「触るのは楽しい」(『土の匂いの子』抜粋)

 何でもなめて味わうと、頬がゆるむこともあれば、顔をしかめることもある。肌でじかに触れると、喜怒哀楽がまた増える。

 木の根につかまってよじ登れば、木肌は1年じゅう手に柔らかい質と温度を保っているとわかる。頬にかかる木の葉には、柔らかいのや硬いのやザラザラしたのや痛いのがあり、鼻水を拭くのに適した葉をえり分けることも覚える。捕まえたバッタは指の間でゴソゴソするのがくすぐったかったり、抵抗感があったり、足の節が指にひっかかったりする。虫でも木の実でも、ぎゅっとつかむと出る汁が指を染めたり、ねばねばしたり。

 子ども同士の接触も多ければ多いほど楽しい。言葉のまだ出ないうちや、一人っ子の場合、ほかの子のほっぺたに触ったり、たたいたりして関心を表すことがよくある。まず触って確かめる。触り方で、喜ばれることもあれば、嫌がられることもあると知る。

 寒いときに体を寄せあったり、押し合ったり、おしくらまんじゅうをして温まるには、友だちが大勢いたほうが楽しいし、効果も高まる。スキンシップによって気持ちが和む。

 幼いうちからルールのあるスポーツはさせたくない。それは、身体接触を違反とする場合が多いためでもある。日常生活で必要のない、おとなが勝手につくった規則によって、子どもたちを振り回したくない。修学旅行で友だちといっしょに風呂に入れなかったり、ちょっと肌が触れ合っただけで不愉快になったり、きれたりする子が増えてきた。そういう子どもたちは、とてもかわいそうに思う。

青空自主保育なかよし会

青空自主保育なかよし会は、子どもたち、親たちの仲間づくりをしよう、豊かな鎌倉の自然のなかで思いっきり遊ばせようという趣旨のもと1985年に始まった会です。鎌倉中央公園を含む山崎の谷戸を中心に野外で活動しています。潮の香り、土の匂いを全身で感じながら、子どもたちと一緒に鎌倉の四季を楽しんでいます。